闇夜(やみよる)39

 ある朝、MJが子供たちに囲まれた楽園から目をさますと、自分が大きな装置の中で一人の白人に変わっているのを発見した。彼は鎧のように堅い床に背をつけ、あおむけに横たわっていた。鼻の横に幾本かの冷たい筋が入っていて、顎のラインは鋭さを増している。鼻の横の厚い皮のような肉はいまにもずり落ちそうになっていた。「これはいったいどうしたことだ」と彼は思った。夢ではない。彼はあの夜を境に変わったのだ。

 MJは軍の研究員であった。彼は戦争の後始末に追われていた。偽りの平和と知りながらも任務に忠実に、彼は自分が手を貸した殺人兵器プロジェクトの卵たちを「条約」に基づいて処理していた。ナインインチネイルズ、削除。ヘアカット100、削除。カジャグーグー、削除。モノクロームセット、削除。電脳にインしながら作業を進める彼に本部からメールが入った。MJの電脳には攻性防壁「スクリーム」が待ち構えていて侵入者を見張っている。メールをスキャンしてセキュリティを確保してからそれを自分の電脳の認識エリアに流し込んだ。

 「今夜22時にニュー千葉シティにあるバー『パープルレイン』に行け」

 彼は時間に余裕があったのでふたたび電脳に没入し作業を続けた。彼がいる部署には同じ職務に従事する同僚が100人ほどいたが、お互いの素性を探らないのがルールだった。顔のない白いブースの並列。そこに影はなかった。

 『パープルレイン』は旧千葉駅東口の中華料理屋『王将』の二階にある小さなバーだった。旧千葉駅西口から市原に帯状に連続していたコンビナート群は北日本の爆撃と破壊工作によって消滅していた。東口の一帯は暴徒と化した者、職に求める者、酒に溺れる者によって濁った賑わいをみせていた。MJは約束の時間の一時間前に『パープルレイン』のカウンターで青島ビールのはいったグラスを傾けていた。カウンターには彼のほかには青いドレスを着た女が背中を向けて音楽に身をゆだねているだけだった。MJが鼓膜で音楽を聴くのは久しぶりだった。

 ナッツを噛んでいたMJの隣のスツールに顔色の悪い男が腰を掛け「MJ…ですね」と細い声で言った。MJが「どうしてわかる?」と返すと男は「黒いから…」と言いコードネームを名乗った。彼らは名前を持たない。男のコードネームは「TK」。色を抜いた長髪をかき上げながらTKは「盗聴されている可能性があります。これからは有線でお話します」と言った。MJはTKの差し出したジャック、通称「いとでんわ」を耳の穴に突っ込んだ。

 TKのデジタル化された声が電脳に流れ込む。MJは音声コード変換プログラムを走らせ、メモリーに書き込んだばかりのTKの声帯を再現した。「MJ。あなたに任務をお伝えします。あなたは24時間以内にご家族と共に鳥取に赴いて特殊任務に就いていただきます」「どういうことだ。私には家族などいない」「これがたった今からあなたの娘です」「これは?」MJの電脳にカプセルに入った赤ん坊の映像が流れてきた。あどけない笑顔だった。

 「『クローソー』です」「馬鹿な!伝説の戦士Perfumeがこんな赤ん坊だというのか!」「原因と現象は不明ですが間違いなく『クローソー』です。DNA値。BPM値。すべての数値がクローソーを示しています。それに…」一瞬、TKは「肉声」で笑った。「機関の結論です。あなたに反論の余地はない」「『セカンドインパクト』から生み出した悪魔…」「それはちがいます、MJ。我々の『切り札』です」

 TKから任務の詳細がMJに送られてきた。MJの攻性防壁「スクリーム」が綿飴のように千切られた。「…。この子を私が預かればいいのか」TKは沈黙で応じた。「鳥取なら北の脅威や干渉からは避けられるかもしれない。しかし第二の『セカンドインパクト』、いや『サードインパクト』が起きたらどうするつもりだ」「我々には『月光蝶』があります」「『月光蝶』…完成しているのか?」「ご安心を。私の部隊ORUMOKが既に鳥取に潜入し、『月光蝶』は既にスタンバイ段階に入ってます」「万が一のときは鳥取ごと『クローソー』を処分するつもりか…」「MJ、『月光蝶』はあくまで保険です…。あなたには私が用意した5億円をもって『クローソー』と共に鳥取に行くしか選択肢はない。さもなければ…」

 「さもなければ?どうなるというんだ」「あなたは児童虐待の罪で軍法会議にかけられる」「可愛いチャイルドと同じベッドに入ってなにが悪いんだ…」「MJ…鳥取に行けばあなたは永遠に潔白だ。白くなれるのです」「白く…」と力なく呻いたMJにひとつの疑念が生まれた。

 「ひとつ質問していいか?」「簡潔にお願いします」「さっきあなたは『家族』と言った。『家族』とは『クローソー』だけか?」「いい質問です、MJ。あなたにはこの命令を受けた瞬間から『奥様』がいる」MJは電脳の海を泳いで戸籍データをサーチして自分の配偶者の項に見知らぬ女性の名前がリライトされているのを確認すると「これは誰だ?」と言った。「あなたと『クローソー』の身の回りの世話をする任務に就く者です。すでに薬物でマインドコントロールされてます」「おまえたちは人間じゃない」「我々はもう悪魔の一部なのですよ、MJ」TKは有線交信を断ち切った。「あなたたちは早く旅の準備をすべきだ」それだけ言い残すとTKは足早に去っていった。『パープルレイン』の入り口にはTKの用心棒がいた。そのドレッドヘアの下、黒く光る大きなサングラスがMJの眉間に照準を定めているのがMJにはわかった。

 MJの背中にいた青いドレスの女が彼に声を掛けてきた。「鳥取にいく準備をしましょう。ダーリン」「君は?」「倖田梨紗。いいえ…この店の扉をくぐったときから西脇梨紗。西脇マイケル、それがあなたの新しい名前。私はあなたの妻よ…行きましょう。鳥取で白くなりましょう」女の目は焦点を失っていた。

 白くなった彼と妻と子。親子三人はうちそろって家をあとにした。鳥取に向かう電車のなかには三人のほかに客はだれもいなかった。降りる場所に来た。暖かい日がさんさんとさしこんでいた。鳥取駅。焦点の合わない妻の腕のなかで娘、西脇綾香が若々しい手足をぐっと伸ばした。その様子は、西脇夫妻の目には、彼らの新しい夢とよき意図の確証のように白く映った。

闇夜(やみよる)38

「歴史?」
 シャマランは聞き返した。あまりにも大袈裟で、概念的過ぎる名を名乗った男の神経が正常なものかどうか測りかねたのだ。
「そう。歴史だ」
 男は繰返した。
「気になるか?」
 男の問いかけに対して、シャマランは黙ってうなずいた。
「じゃあ、少し俺の話をしてやろう。俺がなぜ歴史なのか。文字通り、俺は歴史なんだよ。今俺たちがいる日本列島のなかに2つの国が生み、世界の一部を変えたあの戦争を含んだ歴史は俺そのものなのさ――こんな風に話してもまだお前には理解ができないだろうがな。この話を理解するには、ちょっとした忍耐が必要だ。お前が話を聞いていたあの嘘つき先生には、それがちょっと足らなかった。だから、こんな地下に落ちちまったんだよ。
 セカンドインパクトを知ってるか?あの戦争よりも随分前の話になるが、あのとき俺はオホーツク海の蟹漁船の乗組員のひとりに過ぎなかった。しかし、あの日以来俺は一種の予知能力のようなものに目覚めたんだ。まるで壊れたラジオだ。ひとりでに向こう1ヵ月に起こる出来事の情報が頭のなかに流れ込んでくる。何人もの科学者が俺を調べに来たよ。実際に検査とか実験の相手まではしなかったがな――ヤツらが調べた結果も予知できたから、先に調査結果を書いて送ってやったのさ」
「ちょっとまってくれ、セカンドインパクトなんかもう100年近く前の話じゃないか。とてもあんたはそんな歳には見えないが……」
 シャマランは歴史という名を名乗る男の話を途中で区切るようにして訊ねた――そうでもしなければ、理解が容易ではないと思われたのである。
「その質問も予期できていたよ」
 男は答えた。依然として男の顔は髪の毛に覆われたままで表情を伺うことはできなかったが、シャマランをまっすぐに見据える蒼い目がかすかに笑っているように見えた。
「俺はあのときから歳をとっていないんだ。俺の体内の60億個の細胞のひとつひとつが、あの日からほぼ入れ替わっていない。樹脂コーティングされて劣化しなくなった剥製みたいなものさ。あの瞬間に、俺を流れる時間はとまった。いや、時間が俺を無視するようになったという言い方のほうが正確かな。しかし、それはこの世界の論理として正しくない。古代のギリシャ人が言うように、万物は流転するんだよ――だから、俺は時間が俺を無視できないようなことをしようと思い立ったわけだ。簡単だったね。俺には予知能力があった。株の動きなんか端から俺には分かっていた。俺は与えられる情報に従って投資を繰返しているだけで、気が付けば世界中の誰よりも金持ちになっていた。蟹獲り漁船の船員だった俺がだ。そして、俺は世界を動かすに足る権力を手にした。忙しかったのは、その後だ。俺は日本のカルト宗教が生み出した洗脳技術を受け継いだ科学者たちを買収しなきゃいけなかったし、日本の大学から2人の科学者たちを誘拐させなきゃいけなかった。それから、世界中で溢れていた傭兵たちを雇ってやらなきゃいけなかったし、日本の政治家たちとも会合しなきゃいけなかった。そして、ヤツらに戦争をおこさせた。歴史は弁証法的運動だ。大昔、ドイツのド田舎にいた哲学者がそんなことを言っている。俺が時間を動かそうとして戦争をしかけたのも、その論理に則したものだったかもしれない。歴史は一旦否定がおこなわなければ、運動をおこなわない。俺は俺を流れる時間を動かすために、歴史を否定するために、時間が俺を認めるようにあの日から動いてきた。俺の体中にある傷はその代償みたいなものだ。しかしだ、次第に俺は気付き始めていた。時間、歴史がむしろ俺になりつつあるのだ、と。」
 クククク……と男が忍び笑いをしているのを、シャマランは認める――その声はジオフロントのコンクリート内壁によって反響され、実際よりも大きく、そして不気味なものになってシャマランの耳へと届いた。しかしいまだにシャマランはまだ男の頭が狂気におかされたものであるのかどうかを、彼の言葉から判断することができなかった。
「あんたはセルゲイ・オマンコーノフなのか?」
 シャマランがそう言うと、男の笑い声は一層大きくなった。
「その名前を聞くのは久しぶりだな。以前、そんな名前を使っていたこともある。だが、さっきも言ったとおり、ここでは名前なんかなんの意味も持ちやしない。それはお前も知っているだろう。デンマーク系インド人であるお前が、シャマランと呼ばれていようが、お前のペンネーム、村上F春樹と呼ばれていようが、何の意味もない。それは俺がオマンコーノフと呼ばれていようが、歴史と呼ばれていようが関係ないのと同じことだ。そんなことよりも、村上F春樹、いや、シャマランと呼んだほうが良いのか?お前は、お前が書きかけていた歴史の続き、嘘つき先生が語れなかった歴史の続きについて興味があるだろう?俺が今日お前の目の前に現れたのは、俺がその続きを教えてやろうと思ってのことだ。どうだ、聞きたいか?」
「僕がどう答えるか、もうあんたには分かっているんだろう?」
 男に対してシャマランは答える。すると男は止めていた忍び笑いを再開し「そのとおりだ」と言った。
「しかし、まだわからないことがある。あんたは、それを僕に語ってどうするつもりなんだ?」
「歴史は書き留められ、あるいは物語られることによって歴史と化す。これも大昔、ドイツのド田舎にいた哲学者が言っていた言葉だ。俺も歴史ならそのようにされておくのが世の理なんじゃないか?そして、今はそのときなんだよ。歴史は否定されなければ運動をはじめない。俺という歴史が今、新たに否定されるその瞬間がもうすぐに来る。その前に俺は、いまだ記録されていない部分についても誰かに語っておかなければいけないんだ」

闇夜(やみよる)37

 オレはツッパリヨシフミ。つっぱってる。オレはどこかわからない谷の中で不思議な女とあった。
 だが、次の瞬間、オレはたそがれた小汚いバーの片隅のテーブルに腰掛けていた。向かいにはさっきの女。美人だが、よく見ると若干あごがしゃくれている気がしないでもなかった。オレたちが腰掛けている背の高い鉄製のイスには木の背もたれと腰掛があり、オレのケツに冷たさを感じさせる。オレたちは木製の丸いテーブルに肘をつけて向かい合っていた。テーブルの上には、誰かのピザの食べカスだろうかチーズのようなものやら酒のあとやらくっついていた。だが、その汚さはオレを少し落ち着かせてくれてもいた。オレはまったく状況が把握できていないにも関わらず、リラックスした気分になり、その女のことも少し忘れかけていた。
「私は今井絵理子
 女が突然しゃべりだして、オレはぎょっとした。
「え?君は…ここはいったい?」
「ここは苫小牧の小さなバー」
「トマコマイ…」
「そう。20世紀の苫小牧。ほらテレビを見てみて」
 はっと振り向くと博物館でしか見たことのないブラウン管のテレビが天井の隅の小さく組まれた櫓のような場所に置かれていた。そこではアディダスのジャージを着たブサイクな白人が歌っている。

「お前がワシのワンダーウォールやで〜」

 なんだこのダサいのは…。
「これが20世紀の文化よ。セカンドインパクトは知ってるよね?」
「ああ。歴史の授業で」
「今日はセカンドインパクトの前日。隣の席の若い外国人の男。華奢で透明で美しい姿のあの男、湿った目の男。セカンドインパクトが彼を変えるわ。あなたに彼を見せたかったの。私と融合しても彼を覚えておいてね。私たちの記憶がどうなるか、私にもよくわからないの」
「融合?」
「アクターズ・プロジェクト。私たちSPEEDはプロトタイプだったの。沖縄からDr.ワイリーの軍団に拉致されて改造された。でも綾香たちはまったくの無から作られた。まだ彼女達はこの時間には存在していないけど。ヒトエは能力が開花せずにアメリカで主婦になったけど、私とヒロとタカコは綾香たちを守ったわ。でも私たちも綾香ものっちもゆかも死んでしまったの」
「何の話をしているんだ…」
「でも綾香の特性は女神転生。それはエデンが作られた際に神の相対因果律で定められているの。綾香は何度でも転生を繰り返し、チャゲアスのメロディで覚醒し、生き続ける。あなたの時代にも綾香は生きている。彼女の存在はサードインパクトを引き起こしかねない。誰でも良かったの。あなたはただキレイな眼をしてそこにいた。だからアナタを選んだ。私のアストラル・バディは時空を超えることができる。ただしミノフスキー粒子の磁場の干渉を強くうけてしまい、現実世界で安定した実体化を果たすには依り代が必要なの」
「ヨリシロ…それがオレ」
「そう…時間がないわ。私はあなたと融合し、あなたの時間で綾香を見守り、綾香が堕天しそうなら場合によっては綾香を殺して次世代の運命に繋ぐ。はじめるわ」
 女は光になり、そして光は空気に溶けるように拡散しはじめた。ふいに光の粒子たちが意志をもったようにオレの方へ一気に流れ込む。オレの脊髄から陰茎へと快感が貫いていく。BODY&SOUL…!

闇夜(やみよる)36

 黄昏のなか一人の男が鳥取砂丘をなぞるように走る旧国道9号線のガードレールに寄りかかっている。男はアスファルトで乱雑なギンガムチェックを刻まれた車道に向かって忌々しさを振り払うかのように唾を吐いた。「くそっ」。降り立ったばかりの鳥取日本海から吹き付ける風は男の予想より穏やかで、それが男の苛立ちをいくぶん和らげてはいた。男は己の愚かな行為を棚上げにして、ふりかかった不幸を呪い続けていた。「なぜスターだった俺が…」「なぜ俺だけが…」と。

 現在、男は非公式ではあるが北の軍籍に身を置いている。そこで世の中から見棄てられた男に与えられた指令は自衛隊のトップシークレット「クローソー」の破壊。戦争中に何千、いや何万の血で塗られた引き換え券に記されたクローソーのパルスは鳥取市内の女子高生西脇綾香のそれと完全に一致していた。男の目標は西脇綾香の破壊となった。24時間前。男の電脳にクローソーの情報が送られてきた。最新の、ホットなやつ。走査。ウイルスとトラップの可能性を排除してから男はファイルを開く。

 コードネーム=クローソー。1.半径1km以上250kmをカバーする強力なジャミング能力を有し、あらゆる通信手段を遮断、傍受、制御、支配下に置くことが可能。2.瞬間的な移動が確認されている。空間を連続的に移動するのではなく一度完全に消失してから出現点に現れる。原理は不明。但し、当該現象を連続して行ったあとの対象は著しく運動能力が低下する。3.ゴリ…」男は情報をスクロールさせ「これが伝説の戦士Perfume…」と呟く。西脇綾香をスキャンしパルスの分析を行った戦略偵察衛星ソルは3分半に連絡を絶っている。男には逃げ道はない。任務に失敗したとき、男の静脈には致死量の覚せい剤が流れるようにセッティングされているからだ。「俺には後がないんだ…」男の名は加勢大周

 涼しい晩だった。加勢が鼻歌まじりで風呂場のプランターで大事に大事に栽培した大麻に水をやっていたあの晩は…。ちょっと見には、そこらにある高級マンションと変わりはないが、中身は大麻覚せい剤の山。3LDKの部屋にぎゅう詰めにされた大麻覚せい剤のなかで、加勢は事務所からお仕着せの仕事に鬱屈していた。目をピカピカさせながら哂う。「稲村ジェーンの大スターが昼ドラの脇役とは堕ちたもんだな…」加勢が全裸でそう呟いているとき、刑事たちはマンションの共有部を占拠し、各々が電脳で時間表示をみつめて待機していた。その瞬間がきたとき、加勢はなにもすることもなく身体をタイルに押し付けられ冷たい手錠をかけられた。「よろこべ」刑事の声がした。「また、お前さんの名前が新聞のトップニュースに載るぞ」頬に冷たい圧力を覚えながら加勢はかつて自分が演じた刑事役を想い出していた。現実では対面したことのない、例の部屋が待ち構えているのが感じられた。暗い、暗い、廊下。灰色の壁。自供のカツ丼。

 加勢の電脳が警告する。相対距離200m。「いつの間に?」加勢は動揺しながらも強敵の到来に高揚を覚える。殺しの時間だ。ドイツ製ゼロニウム合金の身を翻し国道の中央線を跨いで待ち構える。加勢は戦闘人格をランさせる。「TAIMAHHHHHH!ご機嫌だぜええええ。大周ちゃんよお。いつもどおりにぶっ殺して早いとこキメようぜえ!!」「集中しろ。今までの奴とはケタ違いだ」「おいおい!天下の大スター加勢大周ともあ・ろ・う・お・方が怖気づいちゃってるわけええええ。ひゃあははっははっは」「黙れ、来るぞ、坂本一生」「な、なんだ…こいつはば、化け物か?俺たちの完璧マッチョクールな電脳防壁『予備校ブギ』が片っ端から融けていってるぜ…」「TAIMAHHHHH!」加勢の伸ばした両手から放たれる十条のレーザービームが西脇綾香の身体に吸い込まれていき、次の瞬間、その身体をズタズタに引き裂いた。首がもげ、右手はちぎれ、胴体からは内臓がはみ出した。横たわりピクピクとアメーバのように動く西脇綾香からは鮮血の地図が拡がり道路のギンガムを朱に染めていった。

 「やったか…」「ぶっ殺したぜえええ。兄弟よおお。光より速く動けるやつなんているわけがねえ」「どうやら終わったようだ。お前の言ったとお…」加勢は勝利の台詞を言い終わらないうちに身体を縦に二分されて絶命した。クローソー=西脇綾香は加勢の電脳が警告を発するラグに乗じて、その電脳に進入、視覚を完全に制御下においていた。加勢が見た光景は女神の生み出した幻。それはかつてスターであった加勢が芸能界とドラッグの狭間でみたものよりも残酷で甘美。鳥取の秋の夕暮れを軍事衛星の欠片がつくった流星のオーロラが覆った。加勢と坂本は、最期の瞬間に一輪の大麻の花を思い出していた。彼らが育て、名付けた花を。一輪だけの大麻の花。すべての花を枯らして。その花の名前…竹内健晋。

闇夜(やみよる)35

 28種のスパイスをオリジナルにブレンドして作った看板メニュー「ひよこ豆と鶏肉のカレー」は自家製ナンと一緒に食べると絶品!トマトとたまねぎをベースに作っているので、辛いものが苦手な方にもオススメ!と鳥取市内のOLの間で評判だったカレー・ショップ「シャマラン」を経営していたデンマーク系インド人、サヴィトリ・ヘルツ・ボーマンシュタイン・シャマランが途方に暮れていたのは、近頃話題のバットマンに10年続けていた店を徹底的に破壊されてしまい見事に生活の基盤が崩壊してしまったからだった。バットマンによって叩き割られたガラスの破片のようにシャマランの生活の術は破壊され、彼は行き場を失ったのだ――6000枚を超えるゴアトランスのアナログ・レコードを保有していたこともあり、鳥取市内のクラブ「フロム・ダスク・ティル・ドーン」で月に一度「シャマラン☆ナイト」というイベントを開催する人気DJとしても活動をしていたのだが、そこで得られる収入はカレー・ショップで得られるものの100分の一にも満たず、とてもではないがセルシオやマンションを購入した際のローンを返済するには足りなかった。第一、6000枚のレコード・コレクションも売り払っていたため、彼はもうターンテーブルに載せるものを持たなかった。
 シャマランは、鳥取市内のいまや彼と同種である行き場の失った人たちがそうしたように、自然と地下へと潜った。ジオフロント――戦後直後の復興事業の根幹を成した鳥取市の地下300メートルに建造された巨大地下都市――にある、さまざまな抜け穴・隠し通路の類では地底ホームレスが生活していおり、シャマランもその一員となったのだ。半ば野生化した地底ホームレスは「バーサーカー」と呼ばれ、しばしば一般人の居住区に現れては人を襲い、食物などを奪った――あるときなどは殺した人間の肉を貪ったこともあるという。それゆえバーサーカーたちは大きな社会問題として扱われていたのだが、文字通り狂人同様であるはずの彼らがまるで組織化された軍隊のように動き、抵抗するおかげで、全日本軍もその扱いには手をこまねいていた。だが、彼らの存在は他の正常な(!)地下ホームレスたちにとっては好都合だった。彼らが守護者のように地下を徘徊していたおかげで、政府もうかつには手を出せない(不思議と彼らは地下ホームレスたちを襲うことはなかった)。だからこそ、シャマランも地下に潜って生きることができたのだ。
 地下には何もかもが揃っていることにシャマランは驚いた。食料は大抵が廃棄された残飯の類だったが、運が悪ければ腹を壊す……といった程度の状態で手に入り、水、電気、ガスも揃っており、電波状況の良いところであればインターネットにさえ接続できた。そこには経済さえ存在した――地下ホームレスたちはどこかから拾ってきた物品を互いに交換しあっていたのである。そこには古いレコードばかり集めてくる風変わりな男などもおり、その男が全日本では手に入れることができないはずの三上寛作曲による北日本国家の7インチを持っているのをシャマランは見た。もっともさすがにまともにそこから音楽を再生できる機材などはなかったが。
 しかし、そこでの生活は退屈極まりないものだった。とにかく生活に必要なものであれば、なんの問題もなく手に入れることができ、しかも、金を払う必要さえない。地下空間に漂う腐臭(なんの臭いかは誰も知らなかった)にさえ慣れれば、地下ホームレス生活はユートピアのようだった。問題はそこで有り余った時間をどうやって食い潰せば良いのかシャマランには分からなかったことだ。地下が地獄だったほうが、まだマシだったかもしれない。シャマランはそう思い、幼かった頃に母であるソナリ・イングリット・ボーマンシュタイン・シャマランの膝の上でデンマーク語訳児童版『神曲』を読み聞かされた記憶が不意に蘇った。
 ある日、シャマランは国立図書館の書庫へと繋がる通風孔を発見する。その日から、彼は1日の大部分をそこで過ごすようになった。サルトルの小説の登場人物のように書架にあった本をアルファベット順に読んでいくことが、死ぬまでの暇つぶしになるのかもしれない、とシャマランは思ったが、はやくもAの途中(アンデルセン)でその不毛な行為に飽き始めていた。だから、逆に彼は本を書き始めた。それは忘れていた自分のもう1つの顔を取り戻す作業だった――カレー・ショップの経営者と人気DJの2足のわらじをはく多忙のなかで、シャマランは作家を志していたことをすっかり失念してしまっていた。「村上F春樹」。それが彼のペンネームだった。
 地下の生活には、昼と夜という時間の感覚は一切存在していなかったが、書庫に誰もいなくなった頃合を見計らって、そこでシャマランは作品を生み出し続けた。短編ならいくらでも書けた。奇想が万華鏡の煌びやかな輝きのようにうごめく作品を彼は書き続け、そして、ある程度作品がたまってきたらそれらは一冊にまとめられた。地下ホームレスのなかには製本職人をやる男もいたのだ。出来上がった村上F春樹の作品はひっそりと書架へと収められていった。もちろん読むものなど現れないだろうが、ある種のテロリズムをひっそりと行うような犯罪的愉しみがそこにはあった。
 村上F春樹の5冊目の短編集が書架に収められた頃、シャマランは地下ホームレスの間で「嘘つき先生」と呼ばれる1人の男と出会った。イプセン肖像画にあるような銀縁の丸いメガネをかけ、右腕を黒い革の手袋で隠したその男の風貌は、一見して地下ホームレスとは思われぬものだった。どこでクリーニングをしているのか、いつも彼は型崩れなど一切ないスーツで身を固め、そして誰かを捕まえては長々と「歴史」について話した――ある事情通の地下ホームレスによれば、地下に潜る前の嘘つき先生はホンモノの歴史の先生だったが、突然狂気に傾いて生徒たちに嘘の歴史を教えるようになって職を失い、そして今ここにいるのだ、ということだった。
 シャマランもまた嘘つき先生の話を聞いた。それは25年前にはじまり、15年前に終わった戦争の歴史だった――しかし、嘘つき先生が言うことは、全日本の人々が教えられた歴史とはまったく異なっていた。表の歴史には、セルゲイ・オマンコーノフなどという富豪のロシア人の存在は現れない。シャマランも嘘つき先生が語る歴史をまるごと信じようという気持ちは一切持たなかった。ただ、彼の話は面白かった。たとえ、狂気が物語らせた歴史であったとしても、嘘つき先生の話はどんな小説よりもシャマランを興奮させた。シャマラン――いや、村上F春樹が、嘘つき先生の話を長編小説へと昇華させようと思い立ったのは自然な流れだったかもしれない。
 しかし、嘘つき先生の話は途中で終わっていた。旧都を壊滅させた火の7日間以降の9年余りの戦争史を彼は語ろうとしなかった。彼が単に知らなかったのかもしれないが、嘘つき先生による歴史は火の7日間までが語り終えられると、また戦争の発端となった函館沖のメタンハイドレート採掘事業まで戻るのだった。必然的に村上F春樹初の長編作品の完成は訪れなかった。
「嘘つき先生の話を本にしてるっていうのはアンタかい?」
 そこに1人の男があらわれた。
「ええ。アナタは誰です?」
 正体不明の男――といっても地下ホームレスの多くは正体不明なのだが――に、シャマランはそう言った。対していたのは異様な風貌の男だった。使い古されたモップのような髪型のせいで男の顔を伺うことはできなかったのみならず、薄汚れた服から露になった体の部分にはいたるところに醜い傷があった。
「俺か?まあいいじゃないか。ここじゃ、誰が何者かなんて大して意味はないんだからな。そうだな、さしあたり俺のことは『歴史』とでも呼んでくれ」
 男がそう言ったとき、シャマランは男の顔を覆う髪の毛の隙間から蒼い目がこちらを覗いているのを認めた。

闇夜(やみよる)34

 鳥取第一体育館の中央に造られた特設リングにバットマンが舞い降りる。オレはすっかり目が点だったが、バットマンとレンの様子を冷静に見つめようとしていた。
「TAIMAHHHHHHHHHHH!!!」
 叫び声とともに客席からサングラスの大男が立ち上がる。いや、サングラスではない…と思った瞬間その眼のあたりからレーザー光線のようなものが発射されてリングのバットマンを襲う。バットマンは華麗なイナバウアーを披露するとビームを避ける。ビームはリングのロープを焼き、反対側の客席へと照射されて、親子連れ四人家族の小学生くらいの息子の頭を貫通し、息子は直立したまま脳漿を周囲に撒き散らし悲鳴が上がる。オレの2.0を超える視力は完璧にそれを捕らえていた。ビームをきっかけに館内は阿鼻叫喚のパニック状態に陥る。人々が叫びながら出口に向かう。レンも一目散に後方に向かって走り始めるがオレはバットマンから目が離せない。
 バットマンがまだリング内にいたマイク下田に何かボソボソ話しかけると、マイク下田はバレー選手がレシーブをするように中腰になり腕を前に突き出して手を上に向けてしっかり握る。バットマンは千葉島から来た格闘家と何か関係があるのだろうか?と考えていると、バットマンはマイク下田の手を踏み台にさっきの目がピカピカな大男に向けて大きく跳躍する。
 ダメだ!物理法則に従い放射線を描いて空中を飛ぶバットマンはビーム光線のいい的じゃないか!実際、目がピカピカ男は目に手をあてがい、空中のバットマンに狙いをつけている。鳥取第一体育館の天井にも届きそうなほど大きくジャンプしたバットマンは額に両手を広げてかざす。そしてバットマンに向けてビームが発射されると、バットマンの体から光があふれてすべてを包み込んだ。


 静寂。
 何時間も何日もたったような静寂の中、オレは荒野に立っていた。ここはいったい…。プロレス会場は、バットマンは、どうなったんだろうか。オレは一人荒野に立っている。いや、ここは荒野ではない。地面から垂直に岩肌が上空へ伸びているし、その三方は地面が途切れている。岩肌の反対方向には途切れた地面から少し距離を置いて、岩肌がそびえ立っている。向かい合う切り立った岩肌はどこまでも続いている。ここは、大きな大きな谷だ。谷には、足場になるような大きな平地がいくつも飛び出していてオレはその中のひとつにいるのだった。おそるおそる地面の端まで行って谷を見下ろすも、その底は真っ暗でどこまで続いてるのかわからない。上を見上げても雲か霧のようなものに覆われて谷の上端は見ることができない。ここは何もない。地面の端には何か、模様が書き込んである。それは向かい合うように端と端にある。古代文字で書かれた円のような……これは魔方陣ってやつだろうか。触るのはやめておこう。

 …
 …
 え?もしかしてオレはここで孤独死するの?ちょっとそれは勘弁してくれ。何でオレここにいるの?ねえ?どうやって帰るの?しばらくボケーっとしてたけど、夢なら覚めてもいいころのはずだろ!何だよブー!ええい、もう知らんわ!と思ってオレは魔法陣に向かって走り急ブレーキ、そろーり足を踏み出して乗ると目から見える景色が一瞬で切り替わった。やはり同じような切り立った谷の平地にいるんだけど……これはさっきとは違う場所だ。この魔法陣は瞬間移動装置か何かだろうか。いや、そんなことよりももっともっともっと決定的にオレを驚かせていることは、目の前に女の子が立っていることだった。まるでダイビングスーツのような真っ黒い体に密着したスーツを着ているが、その質感はゴムというよりももっと硬質なそれだ。でも体にそっていて、華奢な体のラインがはっきりとわかって、それでオレはドギマギしてしまう。女の子が閉じていた目をゆっくり開ける。その目はどんな黒よりも暗かった。そう、まるでそれは闇夜。彼女の髪は腰までまっすぐに伸びていてキレイに長さがそろっている。前髪は眉毛の上で横一直線にやはりキレイにそろえられていた。彼女は僕を見下すように見据え億劫そうに口を開いた。
「鳥は高く天上に蔵れ、魚は深く水中に潜む。鳥の声聴くべく、魚の肉啖ふべし。これを取除けたるは人の依怙也。」
「え?え?え?な、なんですか?」
「繰り返すポリリズム。その起点へとようこそ」

闇夜(やみよる)33

 何度呼び鈴を鳴らしても羽鳥の出てくる様子がなかったので私はミドルキックを羽鳥の部屋の分厚い扉へお見舞いした。私はまだ鳥取市内のすべてを掌握していたし、羽鳥のケータイのGPSがこの部屋を指し示しているのをもわかっていたから自信を込めてキック。扉が壊れたら?何度も鳴らしたのに出てこない羽鳥が悪い。マジガンギマリ当たり前。乙女キックを受けた扉はゆっくりと部屋の内側へ倒れ、私は足を中へと踏み入れる。ガゾゾゾジョリジョ。引き摺るような音が暗闇からする。おかしい。部屋の灯りは点いている。私は目を凝らす。暗闇ではない。巨大な黒い物体から音がしている。ジョジョジュオ。崩れた球体。黒く細いワイヤーが球体を支えつつ移動している。羽鳥の声、もうそれはかなり微弱になってはいたけれど、この黒い物体のなかからした。私は黒い物体に近づき手を伸ばす。すると黒い物体の一部がびょっと伸びて私の右手の指先から肘までを掴んだ。細かい毛のようなものが表面で蠢いている。私は強引に引き剥がそうとしたけれどもう完全に密着していて叶わなかった。私の右手は支配された。「忘れたとは言わせないぞ」「まあお前たちから見たら俺はゴミ同然かもしれなかったけどな」「痛いんだよ。腕がよう」「死にたくねえよう」羽鳥ではない声。そして聞いたことのある声が聴覚ではなく支配された右手から電脳に直接流れ込んできた。油断したせいで攻性防壁を貼るのが遅れ、声の流入を許した。「俺の首と左手を返せ」「家族に会わせてくれ」「悪魔め」ああああああああああ。私の右手を覆う黒の表面に細かい突起が浮かび上がり、突起は小さな頭部になった。目玉を抉られた顔。鼻から上を水平に切断されて桃色の脳髄を垂れ流しながら口だけが哂っている顔。左即頭部だけを丸く撃ち抜かれ、孔から蛆虫が沸いている顔。右半分だけがマグマのように溶けてしまった顔。頭を左右に真っ二つに割られて眼球が零れてしまって揺れている顔。私は残された左手で右手に生えた黒い顔達をゲンコツで叩き潰していった。私の拳が当たるたびに顔はグジャっと嫌な音を残して潰れていった。グジャグジャグジャ。潰れてもブクブク泡を噴いて抵抗している顔は捻じ切った。「お前は最高に最低な死神だ」そう言い放った捻じ切った顔を私は壁に叩きつけてシミにする。電脳のハックを回避した私を右手を覆っていた黒が開放する。しゅっと本体の球体に吸い込まれていった。

 羽鳥の反応はまだこいつのなかにある。私が黒い球体のワイヤーを掴んで剥がそうとすると表面が水面のように変化、凝固し形を作った。直径二メートルの黒い球体の一面に浮かんだ大きな顔。見たことのある湿った目。店長。ニコラス。
「店長どうしたの?」
「どうやらあの目がピカピカした奴に突っ込んでヘヴンにいくときに俺のワイルド・アット・ハートは捕らわれてしまったようだぜベイベ」
「お葬式終わったし死んでるんでしょ?」
「とっくに死んで俺のワイルド・アット・ハートは肉体からフェイス・オフしてるぜベイベ」
「んじゃ容赦なくいくねー」
私は腰をひねり上げトルネード投法から弾丸パンチを繰り出そうするとニコラスが騒ぎ出した。
「ベイビー。それどうなの?人として。確かに俺は俺じゃない。俺が死んでいるのは間違いない。でもそれちょっと人としてどうなんだよベイベ」
「いやいやいや店長のなかに生きてる人いるから助けないと。だいたいあんたのいってることが嘘かもいれないじゃん」
「ビリーブ!」
「じゃあクイズ!」
コン・エアー!」
「ニコラス店長、つまりあんたはバイトをしている私のバディのどの部分をいつも眺めていたでしょう?本人なら簡単でしょ?」
「俺のスネーク・アイズは常にオッパイにザ・ロック!」
「ブブー。ニコラスはいつも私のお尻を眺めてましたー。あんた偽者ね」

 私はトルネードからフルパワーのパンチを偽者の眉間にぶち込んだ。衝撃波で湿った目玉がゴロリと手前に飛び出す。私は空になった両目に腕を突っ込みグジャっとしたなかで腕を組みそのまま両手でバックドロップをして球体の表面を引き剥がした。それから剥がれた偽ニコラスが沈黙するまで踵で叩き潰した。黒い球体のなかには毛むくじゃらになった羽鳥がいた。以前の羽鳥とはまるで姿を変えていたけれど今の私にはわかる。私は今半径50キロのすべてを把握している。ピコーン。ゴゴゴゴゴ。猛スピードで鳥取駅訪問から突き進んでくる物体を私は知覚する。駅前商店街松坂屋鳥取店前に設置された防犯カメラが捉えた影をハックして解析。コンマ0.01秒。解析結果は「影=バットモービルバットマンバットマンは何がしたいのか興味があるけれど今はちょーっち関わりたくない感じ。私はカンチと落ち合うために学校へ向けて羽鳥を抱えて空間を飛ぶ。そうそう偽ニコラス、あなたニコラスにしては毛が多すぎなのよね…。